FJKフォーラム「子ども虐待防止マラソン」に参加してきました。メインのスピーカーは、元宮崎県庁の職員だった甲斐英幸さんです。甲斐さんは、今年の3月に職を投げ打って、虐待防止の意識の啓発を込めて日本全国をマラソンで一周されています。
職を捨ててマラソンへ
甲斐さんは、17年前に児童相談所に転属されて、初めて、児童虐待の存在を知り、衝撃を受けたとお話されていました。
その頃は、まだ児童虐待が社会問題として認知されていない時代で、その言葉すら一般的ではなかったと思います。そんな時代から、この問題に取り組み、最終的には職を捨てて日本全国へ行脚を始めるその行動力に、ただただ敬服します。
パネルディスカッションでは、甲斐さんを中心に、NPO 法人タイガーマスク基金の安藤さんが進行役となり、大阪府子ども虐待防止アドバイザーの辻さん、社会的活動グループ3PEACE+代表の吉澤さんは親側として、FJKの松原さんが受け入れる施設側として、児童虐待についての現状や意見も聞けました。
話を聞くほどに、児童虐待には、虐待にいたるまでの事情が多岐に渡っていますし、行政や受け入れる側にも、それぞれ予算の事情や法的な制限もあり、簡単に解決策が見つかるものではないなと思いました。
一番よいのは、もちろん未然に防ぐという事です。それには家庭環境(貧困)の改善、孤立化させないための親族や地域のサポート、行政や警察による相談や受け入れなどの充実など、複合的に必要なのですが、現状はまだうまく連携できていないようです。
日本の里親制度
甲斐さんから日本の受け入れ体制についての指摘がありました。欧米と比較して、日本は里親制度が遅れているとの事でした。心に傷ついた子供に正面から対峙するには、大人数を受け入れる施設よりも、家庭の中で寄り添える里親の方が良いという意見でした。
ただ、最近も里親が受け入れた子供を虐待死させてしまうという事件もありましたし、里親制度も完璧でないのが現状なのかなと思います。
この里親側の知識と経験不足を補う方法として、里親を資格制度にして、児童養護施設などで、経験豊富な職員による研修と訓練をするのがいいのかなとFJKの松原さんの意見を聞いて私も思いました。
このフォーラムを聞いて、今ある色んな制度や機関や施設が、柔軟に連携ができれば、もっと救えるものが増えそうな気がしました。とはいえ縦割りが常の政府機関において、心ある人達が声を上げて行動をすることで、国や自治体を動かしていかないと、何も変わらないのだなと。そういう意味でも甲斐さんの活動には改めて敬服します。